水槽をセットしてパイロットフィッシュを投入してから水槽の水が安定するまでの最初の約1ヵ月間がアクアリウムで一番難しい期間かもしれません。
熱帯魚を飼育したくて水槽をセットしたのに水槽の水、すなわち好気性バクテリアを育てなければいけないからです。
(※好気性バクテリア=ニトロソモナス・ニトロバクター)
しかし水槽の水が出来あがる仕組みを理解し、手順をシッカリ踏まえれば難しい事はありません。
このページでは水槽立ち上げから、立ち上がるまでの仕組みを初心者でも分かるように説明したいと思います。
出来る事ならアンモニアと亜硝酸を測定する試薬を用意して定期的に水質検査をする事で、書籍やHPなどの説明が確認でき理解が深まるので飼育がより楽しくなると思います。
定期的に水質検査をすることで調子が悪くなった時に原因の追及がしやすくなる利点もあります。
水槽が立ち上がるまでの仕組み
初心者の方が熱帯魚飼育で失敗する一番の理由はエサの与えすぎによる水質悪化です。
熱帯魚には満腹中枢がないので食べれるだけ食べてしまいます。
食べたエサは排泄物として水槽内に排泄されます。
初心者が見落としがちなのですが、与えたエサからも有機物が水中に流れ出しているのです。
この有機物もアンモニアの発生源になります。
どの飼育書やHPを見ても、投入当日はエサを与えない、翌日からは1日〇回△分以内に食べる量を与えましょう。
などと書かれている事が多いのですが、水槽立ち上げ時のろ過バクテリアがまだシッカリ働いていない状態では毎日の給餌は急激な水質悪化に繋がり生体にとってとても危険な環境になります。
水槽を立ち上げると最初に検出されるのがアンモニアです。
これはエサを多く与えようが何をしようがこの法則は変わりません。
変わるのはアンモニアの発生量です。
アンモニア発生
↓
ニトロソモナス増殖
↓
アンモニア減少・亜硝酸発生
↓
亜硝酸発生
↓
ニトロバクター増殖
↓
亜硝酸減少・硝酸塩発生
↓
硝酸塩発生
↓
水換えで排出
アンモニアが発生すると、それをエサとするニトロソモナスが増殖しアンモニアを亜硝酸に変えます。
ニトロソモナスが発生するとアンモニア濃度はピークになるのですが、アンモニアを分解するニトロソモナスが少ない立ち上げ時の水槽ではあっという間にアンモニア濃度が上がります。
生体数が多かったりエサを多く与えてると発生するアンモニアの総量が増えてしまい、ニトロソモナスが発生してアンモニアの分解を開始するまでにアンモニア濃度が高くなりすぎて生体にダメージを与えてしまいます。
そのため立ち上がるまではエサを減らしてこまめな水換えを行いアンモニアの総量を増やさないように心掛けましょう。
立ち上げをスムーズに行うためのポイント
生体を多く入れすぎない
エサをなるべく少く(3~4日に1回極少量)
2~3日に1回1/2水換え
アンモニアが減少し始めると今度は亜硝酸が検出されるようになります。
亜硝酸が発生すると、それをエサとするニトロバクターが増殖を始めるのですが、ニトロバクターは繁殖速度が遅く亜硝酸が検出されなくなるまで早くて3週間~遅ければ2ヶ月ほどかかります。
アンモニアよりも毒性が低い亜硝酸も濃度が上がれば生体に有害なのでこれまで通りこまめな水換えを行いましょう。
これは試薬で亜硝酸をチェックしていればある日突然検出されなくなりこれが立ち上がりの合図です。
亜硝酸チェックの試薬がなければニトロバクターがしっかり働くまでの3週間~2ヶ月の期間はひたすら我慢してこまめな水換えを継続して下さい。
立ち上げから2ヶ月もすればろ過バクテリアはしっかり働いてるハズです。
ここまでくれば毎日エサを与えても水換えスパンが月1回1/4(生体の数による)とかでも大丈夫になってきます。